ProPresent® MAPPS 抗原提示アッセイ
ProPresent® は、ProImmune社のMHC関連ペプチドプロテオミクス(MAPPS)アッセイです。このアッセイにより、抗原提示細胞からT細胞に提示されるペプチドを直接同定することができます。当社の主力アッセイの所要期間はわずか3~4週間です。

ProPresent® は、バイオ医薬品やその他の対象タンパク質に含まれるどのエピトープが、HLA分子によってT細胞に提示されているかを正確に特定します。ペプチドの同定には、HLA-ペプチド複合体の抽出、ペプチドの溶出、そしてシーケンシング質量分析法によるペプチドエピトープの同定という、従来の方法が用いられます。
ProPresent® を使用すると、HLA-DR、DP、または DQ、ならびに HLA クラス I に関連するペプチドを同定することができます。ProImmune社のREVEAL® HLA-ペプチド結合アッセイおよび機能性T細胞アッセイと組み合わせることで、ProPresentは、化合物の潜在的な免疫原性を理解するための全体像を明らかにします。
ProPresent® MAPPS 抗原提示アッセイの特徴
- 対象となる薬剤やタンパク質から、免疫系に提示されるペプチドエピトープを迅速に同定できるようにします
- タンパク質医薬品やワクチン候補の、免疫原性を持つ可能性のある領域のリスク評価を可能にする
- どの領域や配列を改変すれば免疫原性を変化させることができるかについて、示唆を与える
- 自然な細胞処理および提示工程により、個々のタンパク質や複雑な混合物の特性解析が可能となる
- HLA型が同定されたドナーを用いたエピトープ応答における集団バイアスに関する知見を明らかにする
ProPresent® 抗原提示アッセイ技術に関するプレゼンテーション
FDAのチームによるCas9タンパク質の免疫原性に関する論文の概要
Simhadri V.L., Sauna Z.E., et al., Nature Communications (2021) “Cas9-derived peptides presented by MHC Class II that elicit proliferation of CD4+ T-cells”(read the full publication here)

概要
本研究の目的は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来のCas9酵素(SaCas9)から免疫原性T細胞エピトープを同定することでした。SaCas9の全長配列について、ProPresent®を含む複数の細胞ベースのアッセイに基づき、複数のドナーによって処理・提示されるペプチドを直接測定するエピトープマッピングを実施しました。全体として、MHC-IIタンパク質によって提示され、かつCD4+ T細胞を刺激する22のSaCas9ペプチドが同定された。現在までにCasタンパク質の免疫原性に関連する有害事象は報告されていないが、CRISPR-Casを介した遺伝子治療の安全性および有効性の臨床評価においては、本研究で報告されたツールを用いた免疫原性リスク評価の改善が有益であると考えられる。CRISPR-Casタンパク質に対する免疫応答に関する臨床データがさらに蓄積されるにつれ、これらのツールを活用することで、免疫原性が臨床上の安全性および有効性に及ぼす影響をより詳細に解析し、理解を深めることが可能となる。
「Mastering Immunity」カンファレンスにて、Dr. Zuben Saunaが行った、ProPresent® MAPPSアッセイを用いたFDAの詳細な研究に関するプレゼンテーション
CSLベーリングの研究チームによる論文 :皮下投与型rFVIII「AFSTYLA®」の免疫原性の低減に関する研究
M. Hofmann, et al. (2017) “Analysis of the Novel Recombinant Factor VIII-SingleChain Protein Predicts A Lower Immunogenic Potential as Compared to Full-length Recombinant FVII” (read the full abstract here)

*HLA-DR/DP/DQが世界人口の約80%を網羅する健康なドナー(n=12)を、moDCの供給源として選定した。各データセットの1行には、ドナー1~12から得られたHLA-DR/DP/DQ提示T細胞エピトープを、FVIII配列に対してプロットしたものが示されており、対立遺伝子ごとに色分けされている。
** 健康なドナー(n=40)、人口カバレッジ<98%、n=57の合成オーバーラップペプチドを試験
概要:
CSL Behring社が開発したAFSTYLA®は、高い臨床効果を維持しつつ投与間隔を延長するよう設計された、世界初かつ唯一の単鎖型組換えFVIII分子です。CSL Behring社は、ProImmune社のProPresent®抗原提示アッセイを用いて、HLA DR、DQ、DPを介した樹状細胞によるAFSTYLA®の抗原提示を調査しました。その結果、AFSTYLA®の抗原提示は、他の市販のrFVIII製品と比較して低減していることが判明した。続いて実施されたProImmune社のProMap® T細胞アッセイでも、AFSTYLA®に対するT細胞エピトープ応答プロファイルが低減していることが示された。全体として、こうした前臨床アッセイの結果は、AFSTYLA®に関する既に公表されている臨床結果と一致しており、AFSTYLA®に対する阻害物質は確認されなかった (抄録全文はこちら)
ProPresent® の利用事例
- タンパク質の抗原性を判定する
- 発がん遺伝子、ウイルス、細菌、病原体、ワクチン、またはその他のベクター由来の抗原のうち、実際に細胞上で提示されているものを特定する
- 新たなバイオマーカーの発見
- がんや感染症の治療に向けた新たなペプチド標的の発見
- タンパク質修飾が免疫応答に及ぼす影響を理解する
- HLA-DR、DP、DQ、パンHLA-ABC、HLA-A2、マウスH-2について、個別の分析が可能です
細胞のソース
- 腫瘍組織
- 細胞株
- 健全なドナー細胞
- 治療を受けた患者からの細胞サンプル
- 培養細胞(例:
DC、B細胞、その他の細胞など)
抗原
- ペプチド
- デオキシリボ核酸/リボ核酸
- エクソソーム
- ウイルス/VLP
- 細菌
- ライセート
- 精製タンパク質
- タンパク質混合物
検出オプション
- 変異配列
(既知の変異データベースに収録されているもの、またはエクソームシーケンシングによって特定されたもの) - ペプチドの修飾、リン酸化や化学的修飾
柔軟で分離可能な2段階プロセス
- ステップ1(依頼者またはProImmuneにて実施): MHC-ペプチド分子を提示する細胞を生成し、その後、細胞を遠心分離して沈殿させ、凍結する。
- ステップ2(ProImmune社にて実施):細胞溶解およびMHCからのペプチド回収、続いてペプチドのLC-MS/MSによる配列決定
ProPresent® と免疫原性
ProPresent® およびProImmune社のREVEAL® 免疫原性評価サービスから得られる知見は、バイオ医薬品やその他のタンパク質化合物の免疫原性を理解し、管理するために必要な情報を提供します。当社のシステムでは、一連のドナーサンプルからのデータを比較することが可能であり、特定のHLA型を持つ患者が、生物学的製剤に対する有害反応のリスクが高いか低いかを解明するのに役立ちます。このアッセイは、完全製剤化された生物学的製剤に対応しており、異なるタンパク質間、あるいは同一タンパク質の異なる製剤間を比較して、提示されるエピトープのパターンの変化を評価するためにも使用できます。ProImmune社の全タンパク質DC-T細胞およびペプチドT細胞増殖アッセイは、ProPresent®によって同定されたエピトープの機能的関連性を確認するために活用できます。
ProPresent®抗原提示アッセイの用途
- エピトープの発見と特性解析
- エピトープの発見と特性解析
- ワクチンや生物学的製剤に対する患者の反応をモニタリングするためのエピトープを特定する
- 既知または疑われるアレルゲンの概要
- 同一タンパク質(例えばウイルスタンパク質)の配列変異、あるいは発がん性点変異が免疫系に及ぼす影響を特定する
- HLA型が同定されたドナーを用いて、エピトープ応答における集団バイアスを調査する
- 生物学的製剤のリスク評価
- 食品添加物や、化粧品などのその他の消費財に含まれるエピトープを特定する
- 医薬品およびその他の生物学的製剤に含まれるエピトープを同定する
- 同一の生物学的製剤について、異なるロット、製剤、または製造方法から得られたエピトープを比較・対照し、安全上の懸念を未然に防ぐ
- バイオシミラーおよびバイオベターに対する反応を分析する
- 安全性評価の基準を確立する。新規薬剤を、確立された安全な比較対象タンパク質と比較する。
- 規制当局への申請を裏付けるデータを生成する
ProPresent®抗原提示アッセイサービスの詳細なプロセスフロー
- タンパク質はお客様にご用意いただきます
- ProImmune組織バンクから、HLA型が特定された健康なドナーの末梢血単核細胞(PBMC)サンプルの一連のパネルが調製される(対象とするHLA分布を反映するように選定されたもの)。
- ドナー由来のPBMCから採取した単球を、特定組成の培地で培養し、樹状細胞(DC)へと分化させる。
- DCには試験用抗原が導入され、成熟が誘導される
- DCを回収し、HLA分子を精製し、結合しているペプチドを溶出させる
- ペプチド試料は、シーケンシング質量分析法によって分析される。
- 質量分析データは、対象となる配列および対象生物のSwiss-Protデータベースで構成されるタンパク質データベースライブラリと照合される。
- ペプチドは、確率に基づくアルゴリズムに従って重要度順にランク付けされます。
- 誤検知を減らすため、データはスクランブル処理されたダミーデータベースと照合して検証される
- 検出されたすべてのエピトープを一覧にした完全なデータレポートが作成されます。これには、ネストされたエピトープセットの提示や、同定済みのHLA対立遺伝子に対するアンカー解析、および検出された対照タンパク質の概要が含まれます。
- プロジェクトの規模にもよりますが、納期はおよそ6週間かかる場合があります。
FAQ
-
ProPresent® は、凍結保存された細胞による抗原提示の解析に使用できますか?
-
はい。保存状態の良い細胞からMHC-ペプチド複合体を抽出し、ProPresent®で使用することで、その細胞表面に存在するペプチドに関する独自の知見をご提供いたします。
-
ProPresent®によって同定されたエピトープをどのように検証すればよいですか?
-
当社の「ナイーブT細胞CFSE増殖アッセイ」でペプチドを試験することをお勧めしますが、他にもさまざまな選択肢がございます。お客様にとって最適な方法については、お気軽にお問い合わせください。
論文リスト
ProPresent used by Bavarian Nordic to identify cancer vaccine (TVH)-derived antigens
Preclinical development of a first-in-class vaccine encoding HER2, Brachyury and CD40L for antibody enhanced tumor eradication Hinterberger (2023) Scientific Reports 13:5162
ProPresent used by Takeda to study tolerogenic liposome treatment of neuromyelitis optica
The evaluation of lymph node cell proliferation response by liposomes loaded with major histocompatibility complex class II binding aquaporin 4 antigen peptide Muraki (2021) Bioscience, Biotechnology and Biochemistry 85:3, 537–544
Team at FDA and Editas identify naturally presented and functionally relevant T cell epitopes from CRISPR-Cas9
Cas9-derived peptides presented by MHC Class II that elicit proliferation of CD4+ T-cells Simhadri (2021) Nature Communications 12: 5090
Team at FDA and CSL Behring investigate the presentation of FVIII-derived peptides in monocyte-derived DCs from hemophilia patients as well as healthy donors using ProPresent
Peptides identified on monocyte-derived dendritic cells: a marker for clinical immunogenicity to FVIII products Jankowski et al (2019) Blood Advances 3:1429
Team at Novo Nordisk and FDA investigate the immunogenicity of engineered F-VIIa
Post hoc assessment of the immunogenicity of bioengineered factor VIIa demonstrates the use of preclinical tools Lamberth et al (2017) Science Transl. Med. 9:372
Team at Nutricia Research and Utrecht University investigate the tolerogenic potential of hydrolyzed milk formula
Identification of Peptides with Tolerogenic Potential in a Hydrolyzed Whey-Based Infant Formula Gouw et al (2018) Clin Exp Allergy 48: 1345
AAPS Meeting report published by authors from Amgen, Novartis, Genentech and ProImmune:
Immunogenicity of Antibody Drug Conjugates: Bioanalytical Methods and Monitoring Strategy for a Novel Therapeutic Modality Hock et al (2015) AAPS Journal 17: 35
Team at Pfizer explores antigen presentation for therapeutic monoclonal antibodies
Contribution of enhanced engagement of antigen presentation machinery to the clinical immunogenicity of a human IL-21 receptor‐blocking therapeutic antibody.Xue et al (2016) Clin Exp Immunol 183: 102
Team at Sanofi Pasteur confirms CMV epitope with ProPresent® Read case study
HLA-DR and HLA-DP Restricted Epitopes from Human Cytomegalovirus Glycoprotein B Recognized by CD4+ T-Cell Clones from Chronically Infected Individuals Ventura et al (2012) J Clin Immunol 32: 1305

